「夏への扉」

スペイン・アンダルシアからの風

 

Music :  Tomatito「Pa La Pimpi」

フラメンコ・ギタリスト、トマティートの曲を私的に使わせて頂きました。

 1980年,私にとって初めての外国がスペインでした。丸一昼夜、パリからマドリッドへと電車を乗り継ぎ、疲れ切ってグラナダの駅に降り立ちました。タクシーを拾い、もうこれ以上は車は登れない,と言う広場から、あとはがむしゃらに歩いて、アルハンブラ宮殿を目の当たりにするピソ(集合住宅)に転がり込みました。あたりは既にもう日が落ち、すっかり暗くなっていました。

 その初めての夜、ピソの窓を開け放った瞬間、照明に照らされたアルハンブラ宮殿を目の当たりにし、その美しさに心が震えました。その衝撃は今も記憶の中に鮮明に残されています。


 そのスペインもその後大きく様変わりしました。それでもあのアルハンブラを望むアルバイシン地区を歩けば、懐かしいオリーブ油とニンニクの焦げる匂いが、今でもきっと漂っている事でしょう。


 人生の夏に額に汗して生きた日々は、私には一生の宝物です。一枚一枚に記録したフィルムはその夏へと続く扉。フラメンコを耳にするたび、その音色は夏への扉を開け放ち、心を遠く彼の地へ誘います。